A08-03:求人にお金をかけるなら、広告より先に受け皿
広告は、人を連れてくる道。決めてもらうのは、受け皿です。
応募を増やしたくて、広告の予算を足す。それでも採用が決まらないなら、お金をかける順番が逆なのかもしれません。
前の記事で、求人は広告と広報の2本立てだとお話ししました。
今回は、広告にお金をかけるときの順番の話です。
広告は道で、決めてもらう場所ではない
広告を見た人は、その場で応募を決めるわけではありません。広告で興味を持ち、続きを確かめに、求人のページへやってきます。仕事の中身、条件、どんな人が働いているか。そこで「ここで働けそうか」を確かめてから、応募します。
広告は、その場所まで人を連れてくる道です。決めてもらう場所は、道の先にある受け皿です。受け皿とは、求人専用のページ(LP)と、そこに載せる求人票や条件のことです。LPについては、第5章でお話ししました。
道だけ立派にしても、行き着いた先に確かめたいことが書いていなければ、人は帰ってしまいます。広告費は、道を作っただけで終わります。
先にお金をかけるのは、受け皿
だから、お金をかける順番は、受け皿が先です。
LPを作る。仕事の様子の写真を撮る。求人票を、読む人の言葉で書き直す。条件が、来てほしい人の希望に合っているかを見直す。どれも広告より地味ですが、作ったページや写真、書き直した求人票は、会社の情報として残ります。
広告は、止めれば消えます。受け皿は、次の募集でも、その次の募集でも使えます。広告がいつ効いて、いつ効かないかは、第5章でお話ししました。
安い応募は、あとで高くつく
広告には、応募の手間をぐっと減らす形もあります。SNSの中で、名前と電話番号を入れるだけで応募できる入口などです。
手軽なので、応募の数は増えます。けれど、手軽な入口ほど、条件を読まないまま応募する人も増えます。住まいが遠すぎる。望む働き方が違う。会ってみてから合わないとわかり、お断りする。その連絡や面接の手間は、応募の数だけ増えていきます。
反対に、ページを読んでから応募する入口は、手間がかかるぶん、数は減ります。そのかわり、調べたうえで来る人が残ります。
応募の数が多いことは、それだけでは喜べません。断る手間まで含めて考えます。
見る数字は、1人採るのにいくらかかったか
広告の会社からの報告は、クリック1回あたり、応募1件あたりの金額が中心になりがちです。どちらも、広告の出来を見るには役に立ちます。
ただ、社長が知りたいのは、1人採るのに、いくらかかったかです。応募が安く集まっても、採用まで進まなければ、1人あたりの金額は高くなります。断る手間も、本当は費用です。
何を成功とするかは、頼む前に社長が決めておく。この話は、第8章の最初の記事でお話ししました。
「A08-01:業者が何社も関わる仕事で、社長にしか決められないこと」
広告を出す前に、応募の流れを一度通しておく
広告を出す前に、応募する人と同じ道を、社内でたどってみます。
SNSの広告やチラシを見る。LPを開く。応募フォームに入力して、送る。ここまでは、社長や社員が、応募する人のつもりでやってみます。届くはずの返信メールは届いたか。スマホで見て、読みにくいところはなかったか。
肝心なのは、その先です。送られた応募は、社内の誰に届くのか。誰が、いつまでに、どうやって連絡するのか。電話で聞かれたら、誰が答えるのか。ここが決まっていないと、応募が届いても、誰も気づかないまま数日が過ぎてしまいます。仕事を探している人は、何社にも同時に応募しています。連絡が遅れれば、その間にほかの会社へ決まってしまいます。
通してみると、応募する人が聞きたくなりそうなことも見えてきます。週に何日から働けるか。車で通えるか。経験がなくても大丈夫か。こうした質問の答えは、LPの「よくある質問」に先に書いておきます。応募する前に不安が解けますし、電話で同じことを何度も答える手間も減ります。あとから電話で聞かれた質問も、答えを書き足していきます。書いた答えは、次の募集でも読まれる情報として残ります。
通しておけば、つまずく場所は、広告を出す前に見つかります。直すのは、お金をかける前のほうが安く済みます。
広告は小さく出して、受け皿を直してから増やす
最初から大きな予算をかける必要はありません。
まず、少ない額で広告を出します。来た人がページのどこを読み、どこで帰ったかを見ます。確かめたいことが書いていなければ、受け皿を直します。直してから、額を増やします。
社長が決めるのは、最初にいくら出すかと、どうなったら増やすかの合図です。たとえば、「条件を読んだうえで応募してくる人が増えたら、額を増やす」。合図を決めておけば、広告の会社に「もっと出しましょう」と言われたときも、迷わずに答えられます。
筆者の余談
私は、仕事の大半をパソコンの前で過ごしています。ホームページを作るときも、確かめるときも、つい、パソコンの画面で見てしまいます。
けれど、SNSの広告から来る求職者は、ほとんどがスマホです。ちょっとした合間に、親指で広告を押して、そのままLPを読みます。
パソコンでは一目で読めた条件の表が、スマホでは横にはみ出して読めない。写真が大きすぎて、画面いっぱいに何枚も続き、なかなか先へ進めない。応募のボタンが、何度も下へ送らないと出てこない。パソコンだけで確かめていると、こうしたことに気づけません。
パソコンで仕事をすることが多い社長ほど、広告を出す前に、スマホでの見え方を念入りに確かめてください。
この記事のまとめ
- 広告は人を連れてくる道。決めてもらうのは受け皿。
- 先にお金をかけるのは、LP・求人票・条件。受け皿は次の募集でも使える。
- 広告の前に、応募の流れを社内で通す。聞かれそうなことは、よくある質問に書く。
- 見る数字は、1人採るのにいくらかかったか。
- 広告は小さく出し、受け皿を直してから増やす。増やす合図は社長が決める。