A07-02:リニューアルで失敗しないために

失敗には、決まったパターンがあります

リニューアルでつまずく3つの失敗と、「うまくいったかどうか」を何で判断するか。先に知っておけば、こわいものではありません。

前回は、「ホームページを作り直すべきか」「何のために変えるのか」をお話ししました。今回は、いざ作り直すと決めたあと、どこでつまずきやすいかを見ていきます。

リニューアルには、よくある失敗のパターンがあります。先に知っておけば、避けられます。代表的なものを3つ、それから「うまくいったかどうかを、何で判断するか」をお話しします。

目次

失敗1.活きている中身まで、全部捨ててしまう

いちばん多いのが、「古いから」と中身まで全部捨ててしまう失敗です。

前回もお伝えしたとおり、長く運用してきたホームページには、目に見えない財産がたまっています。検索エンジンからの評価、積み上げてきた実績、お客様の声。デザインが古いというだけで、これらをまとめて捨ててしまうのは、もったいない話です。

デザインを新しくすることと、中身を捨てることは、別の話です。見た目はすっかり変えても、活きている中身はきちんと引き継ぐ。ここを分けて考えてください。

失敗2.見た目だけ変えて、中身はそのまま

失敗1とは逆のパターンです。

見た目はきれいに作り替えたのに、肝心の中身、つまり「誰に、何を伝えるのか」が古いまま、ということがあります。これだと、いくら見た目を新しくしても、問い合わせは増えません。

リニューアルは、「見た目の工事」ではありません。「役割の見直し」です。本連載の第3章でお話ししたように、誰に、何を見せて、どう動いてほしいか。そこをあらためて考え直すのが、本当のリニューアルです。

失敗3.ドメインを変えて、検索の流入を失う

3つめは、いちばん怖い失敗です。

ホームページのアドレス、つまりドメインを、軽い気持ちで変えてしまう。すると、これまで検索から来ていた人が、ぱったり来なくなることがあります。

検索エンジンが積み上げてきた評価は、そのドメインに紐づいています。アドレスを変えるということは、その評価をいったん手放すのに近いのです。

どうしても変える必要があるなら、これまでの評価をできるだけ引き継ぐための、専門の手当てが必要になります。これはかなり技術的な作業になりますので、「アドレスを変えるときには、引き継ぐための専門の作業がある」とだけ覚えておいてください。安易に変えないこと。これが鉄則です。

うまくいったかどうかは、何で判断するか

さて、ここからが大事なところです。

リニューアルしたあと、成功したのか失敗したのかを、どう判断すればいいのでしょうか。

多くの方が、まずアクセス数を見ます。「前より増えた、減った」と一喜一憂してしまう。けれど、アクセス数だけで判断するのは、おすすめしません。

ですから、アクセス数と一緒に、問い合わせの率や件数も見てください。本連載で何度かお話ししてきた、コンバージョンレート(遷移率)の考え方です。何人が訪れて、そのうち何人が問い合わせや購入に進んだか。リニューアルの成否は、こちらで判断するほうが正確です。

コンバージョン率とは?

というのも、アクセス数が減っても、問い合わせの数は増えた、という事例があるからです。なんとなく立ち寄る人は減ったけれど、本当に必要としている人がきちんとたどり着いて、問い合わせにつながる。これは、立派な成功です。

アクセス解析例:階段アップ型

横が時間、縦が訪問者数
(※具体的な数字は非公開。形だけ見て下さい)

うまくいったリニューアルは、公開して終わりではなく、そのあとも段をのぼるように成果が伸びていきます。第5章でお見せした、この階段のような形です。一度きりの打ち上げ花火ではなく、じわじわと積み上がっていく。これが、目指したい形です。

大きな失敗は、準備で防げる

ここまで3つの失敗を見てきましたが、じつは、これらの大きな失敗のほとんどは、事前の準備で防げます。

作り始める前の、企画の段階が勝負です。何を残して、何を新しくするのか。ホームページをこれからどう更新していくのか。その方針を、先に決めておく。

このとき、社長ひとりで決めてしまわないことです。実際に現場で働く社員や、付き合いのある取引先の意見も聞いてみてください。社長が気づかなかった「お客様が本当に知りたいこと」が、そこから見えてくることがあります。

しっかり準備をすれば、大幅な失敗はまず防げます。残るとすれば、検索エンジンとの相性くらいでしょうか。ただ、これも事前の調査で、ある程度は見当がつけられます。調べ方そのものは専門的になりますが、「作る前に調べておくと、つまずきを減らせる」ということは、知っておいてください。

リニューアルは、勢いで走り出すと失敗します。何を残し、何を変え、どう判断するか。それを先に決めておけば、こわいものではありません。次回は、その「作り直しを誰に頼むか」、制作会社の選び方をお話しします。

この記事のまとめ

コレだけ!1分で復習
  • 古いからと、活きている中身まで全部捨てない。デザイン刷新と中身は別。
  • 見た目だけ変えても問い合わせは増えない。リニューアルは「役割の見直し」。
  • ドメイン(アドレス)を安易に変えない。検索の流入を失う危険がある。
  • 成否はアクセス数だけで判断しない。問い合わせの率と件数で見る。
  • 大きな失敗は、企画段階の準備で防げる。社員・取引先の意見も聞く。
小田朋和
有限会社イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・正直に・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、社長より「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
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