A03-04:自社の強みは、「お客様視点」の言葉に翻訳する

強みは、見つけただけ・作っただけでは、お客様に届きません。相手の言葉に翻訳して、はじめて伝わります。

「うちはすごい」ではなく、「あなたに、こんないいことがあります」へ。その言い換えのコツをお話しします。

ここまで、強みを見つける話(「A03-02:自社の強みは、社長が当たり前と思っていることの中にある」)と、なければ作る話(「A03-03:強みは、見つからなければ作ればいい」)をしてきました。今回は、その強みをどう伝えるか、です。

実は、ここでつまずく会社がとても多いのです。せっかくいい強みを持っているのに、伝え方を1つ間違えるだけで、まったく響かなくなってしまいます。

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「オレすごい広告」になっていませんか

ありがちなのが、こういう書き方です。

「当社は高い技術力があります」「創業50年の実績」「最新設備を導入」。

どれも立派です。嘘でもありません。でも、読んだお客様の心は、あまり動きません。なぜでしょう。

これは全部、「うちは、すごいんです」という自慢だからです。私はこれを、こっそり「オレすごい広告」と呼んでいます。オレは技術がある。オレは歴史がある。オレはいい設備を持っている。聞かされたお客様は、心の中でこう思っています。「で、それが私に、何の関係があるの?」

自分のことばかり話す人と、話していて疲れた経験はありませんか。広告も、同じです。

「あなたのために広告」に変える

では、どうするか。主語を「うち」から「あなた」に変えるのです。

同じ強みでも、お客様にとっての「うれしいこと」に翻訳します。

「高い技術力があります」→「だから、よそで断られた難しい注文も、お引き受けできます」。
「創業50年です」→「だから、長くお付き合いいただける安心があります」。
「最新設備を導入」→「だから、短い納期にもお応えできます」。

矢印の前と後ろ、言っている事実は同じです。でも、後ろは「あなたに、こんないいことがあります」という話になっています。私はこれを「あなたのために広告」と呼んでいます。

ここで正直にお伝えしておくと、この2つの呼び名は、私が分かりやすいように勝手に名づけているだけです。マーケティングの世界では、前者を「スペック(性能や実績の自慢)」、後者を「ベネフィット(お客様にとっての利益)」と呼びます。要は、自分の自慢か、相手のうれしいことか。その違いです。

翻訳の型は「○○だから、あなたの△△が解決します」

この翻訳には、便利な型があります。

「うちは○○だから、あなたの△△という困りごとが解決します」。

○○に、自社の強みを入れる。△△に、お客様の困りごとを入れる。この2つを「だから(理由付け)」でつなぐだけです。いくつか、例を挙げてみます。

まず、町の電気屋さんなら。「うちは地元で40年やっているから、お困りのときすぐ駆けつけられます」。「○○だから」が強み、「あなたの△△」がお客様の安心です。

次に、精密加工の工場なら。「うちは0.1ミリ単位の加工ができるから、あなたの試作品をかたちにできます」。技術の数字をただ並べるのではなく、「だから、あなたの試作品ができる」と、相手のうれしいことに着地させています。

最後に、経営学の本を読んでいると、よく出てくるたとえがあります。「うちは良いドリルを持っているから、あなたの望む穴が開けられます」。お客様が本当に欲しいのは、ドリルそのものではなく、開いた穴のほうだ、という話です。どんなに立派な道具を自慢しても、お客様は「で、私の穴は開くの?」と思っている。強みを伝えるときの心構えが、よく表れたたとえだと思います。

この一文が作れると、ホームページに載せる言葉が、ぶれなくなります。トップページの見出しも、サービスの説明も、すべてこの型から組み立てられます。一度、紙に書いてみてください。意外と、すらすらとは出てきません。それくらい、ふだん私たちは「自分目線」で考えているということです。

自慢と、思いやりの違い

突き詰めると、これは言葉づかいのテクニックではありません。

同じことを言っていても、自分を見ているか、相手を見ているか。その向きの違いです。「あなたのために広告」は、結局のところ、お客様のことをどれだけ思えているか、の表れなのです。

不思議なもので、お客様は、その向きを敏感に感じ取ります。自慢ばかりの会社か、自分のことを考えてくれる会社か。文章の奥にある気持ちは、ちゃんと伝わってしまうのです。

だから、強みを言葉にするときは、いつも一度、相手の側に立ってみる。「これは、お客様にとって、どんないいことだろう」。そう問い直すクセをつけると、ホームページの言葉は、見違えるように変わります。

この記事のまとめ

コレだけ!1分で復習
  • 強みは、見つけただけ・作っただけでは届かない。伝え方を間違えると響かない。「翻訳」というひと手間が要る
  • 「うちはすごい」という自慢(スペック)は、お客様の心を動かしにくい
  • 主語を「うち」から「あなた」に変え、相手の利益(ベネフィット)の言葉にする
  • 「○○だから、あなたの△△が解決します」の型で、言葉がぶれなくなる
  • 突き詰めれば、自分を見ているか、相手を見ているか。その向きの違い
小田朋和
(有)イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・中立・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、「難しいと思っていたITが、楽しく理解できた」という声をいただいています。「社長」よりも、「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
まず現状を聞かせてください

「うちはどこから手をつければいい?」
それを一緒に整理するところから始めます

ツールを売り込んだり、いきなり大きな提案をしたりはしません。まず御社の今の状況をうかがって、何が問題で、何から始めるべきかを一緒に考えます。葛飾区で25年以上、経営者の隣でITを見てきたからこそできる、現場に寄り添った相談です。

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