A07-03:制作会社にも、種類がある
ホームページ制作会社はどこも同じ、ではありません
制作会社には、得意の違いがあります。「何を作りたいか」が決まっていれば、頼む相手を間違えません。
作り直すと決め、何を作るかも見えてきた。次に考えるのは、「誰に頼むか」です。
ここで、多くの方がつまずきます。ホームページの制作会社は、どこも同じように見えて、じつは得意分野がそれぞれ違うからです。その違いを知らずに頼むと、相手を間違えてしまいます。
制作会社には、得意の違いがある
制作会社は、大きく3つの傾向に分かれます。
- デザイン寄り。見た目の美しさ、ブランドの世界観を作るのが得意
- システム寄り。通販や予約システムなど、仕組みを作るのが得意
- 集客寄り。問い合わせや売上につなげるのが得意
どれが上で、どれが下、という話ではありません。それぞれに強みがあります。大事なのは、自社がやりたいことと、相手の得意が合っているかどうかです。
「かっこいいホームページ=売れるホームページ」ではない
ここで、ぜひお伝えしておきたいことがあります。
当社に寄せられる相談で、いちばん多いのが、これです。「かっこいいホームページを作ったのに、問い合わせが来ない」。
かっこいいデザインのホームページを作れば売れる。そう思い込んでいる社長が、まだまだ多いのです。でも、かっこよく見せることと、問い合わせを取ることは、別の目的です。
本連載の第3章で、「オレすごい広告」と「あなたのために広告」のお話をしました。見た目の美しさだけを追いかけると、つい「うちはこんなにかっこいい」という自慢、つまり「オレすごい」に寄ってしまいます。けれど、お客様が知りたいのは、それではありません。
業種によっては、むしろ少し素朴なくらいのほうが、問い合わせが来ることもあります。写真の写りが多少悪くても、実際に働いている人の顔が見えるほうが、お客様は安心して注文できるのです。つるつるに磨き上げられた、よそ行きの写真より、現場の空気が伝わる一枚のほうが、ずっと信頼されます。
ですから、「かっこよく作ってくれる会社」を探すのが正解とは限りません。「問い合わせにつながるホームページを作ってくれる会社」かどうか。そこで見てください。
頼む相手は、「何を作りたいか」で決まる
得意の違いがわかれば、誰に頼めばいいかも見えてきます。
会社案内をきれいに整えたいなら、デザイン寄りの会社。本格的な通販を作りたいなら、システム寄りの会社。問い合わせや売上を増やしたいなら、集客寄りの会社。本連載の第2章でお話しした「型」と、頼む相手は、そのままつながっています。
逆に言えば、自社の目的があいまいなまま頼むと、相手選びを間違えます。「とりあえずホームページがほしい」では、相手も何を作ればいいかわからず、結局「とりあえずかっこいいもの」ができあがってしまう。だからこそ、第2章でお話しした「何のために作るか」を、先に決めておくことが効いてきます。
作って終わりにしない。運営のことも、企画のときに
ここからは、見落とされがちですが、とても大事な話です。
ホームページは、作って終わりではありません。公開してから、どう運営していくか。そのことを、企画の段階で打ち合わせておかないと、あとで大変なことになる場合があります。
いくつか、確認しておきたいことを挙げます。
ひとつめは、「画像の上に文字を載せた素材」です。見栄えはよいのですが、注意が必要です。画像に文字が焼き込まれていると、その一文字を直すだけでも、デザインのデータ(AdobeやCanvaといった専用ソフトのデータ)を開いて編集しなければなりません。つまり、文字をひとつ変えるたびに、制作会社へ数千円の発注が必要になることがあるのです。
ふたつめは、「直すときの仕組み」です。ページの文字をひとつ変えるのに、難しいHTMLをまるごと書き換えないといけないのか。それとも、WordPressの管理画面で、ワープロのように自分で簡単に直せるのか。これは、以前お話しした、AIでホームページを作るときの注意点と、まったく同じことです(くわしくは「A01-08:AIでホームページを作ってみた、その次にすること」をご覧ください)。デザイナーに頼む場合も、AIと同じで、発注のときにきちんと打ち合わせておかないと、作り手の作りやすいように作られてしまいます。
みっつめは、意外と忘れられがちですが、「管理画面に入るための情報」です。自分で直せる作りになっていても、その管理画面にログインするためのIDとパスワードを受け取っていなければ、結局、自分では何もできません。納品のときに、これらをきちんと受け取れるか。これも確認しておいてください。
では、何を任せ、何を自分でやるのか
ここまで読んで、「じゃあ、全部自分でやらないといけないのか」と不安になった方もいるかもしれません。そうではありません。
おすすめしたいのは、役割を分けることです。
ホームページの根幹に関わるデザインの変更、専門用語でいうテーマやテンプレートと呼ばれる部分は、業者に任せましょう。ここは専門の領域で、無理に自分で触ると、かえって全体が崩れてしまいます。
一方で、日々のページの追加や、記事の更新は、なるべく社内でやることをおすすめします。
記事に何を書くか。その中身を持っているのは、その仕事を毎日やっている、会社の人だけです。たとえば、お客様がいつもどんなことで困って相談に来るのか。どんな質問が多いのか。それを知っているのは、現場の社員さんです。制作会社は、ホームページを作るプロではあっても、その会社の商売の中身までは知りません。だから、中身のある記事は、やはり社内から出てくるのです。これは、本連載の第1章で「いちばん大変なのは原稿集め」とお話ししたことと、つながっています。
ですから、「全部やってくれる会社」がいちばん良いとは限りません。根幹は任せて、日々の更新は自分でできるようにしておく。これが、長い目で見て続けやすい形です。
それでも、日々の更新まで外に頼みたい、という場合もあるでしょう。そのときは、その「更新代行」のサービスが、何を、どこまでやってくれるのかを、しっかり確認してください。ひとくちに更新代行といっても、ブログを1本投稿してくれるだけなのか、ページの追加やレイアウトの変更まで含むのか、会社によって範囲はまるで違います。「代行してくれるはず」と思い込んだまま頼むと、こんなはずではなかった、ということになりかねません。
会社を変えるときの、見えない引っ越し
最後に、もうひとつだけ。制作会社を、別の会社に変えるときの話です。
会社を変えると、ホームページの置き場所、つまりサーバーの引っ越しが必要になることがあります。このとき効いてくるのが、ドメインやサーバーの「名義」が、誰になっているかです。
もし、前の制作会社の名義のままになっていると、すんなり引っ越せないことがあります。本連載の第1章で「ドメインを他社名義で取られていた」という失敗に触れましたが、それがここで響いてくるのです。名義は、できるだけ自社にしておく。これを覚えておいてください。
自社で決めることが、いい発注の半分
制作会社には、得意の違いがある。だから、自社が何を作りたいかで、頼む相手は変わります。
そして、どの会社に頼むにせよ、「何を作りたいか」「どう運営していきたいか」を、自社で先に決めておくこと。それが決まっていれば、相手選びを間違えることは、ほとんどありません。
それでも、一社の提案だけでは判断に迷うこともあります。そんなときは、別の人に意見を聞いてみるのも一つの手です。病院でセカンドオピニオンを求めるように、ホームページの提案や見積もりについても、その分野がわかる別の人に「この内容で妥当でしょうか」と相談してみる。それだけで、見えていなかった点に気づけることがあります。
いい発注の半分は、頼む前の、自社の準備で決まります。次回は、その「頼む前の準備」を、もう少しくわしくお話しします。
この記事のまとめ
- 制作会社にはデザイン寄り・システム寄り・集客寄りがあり、得意が違う。
- かっこいい=売れる、ではない。問い合わせにつながるかで見る。
- 頼む相手は「何を作りたいか」で決まる。目的を先に決める。
- 画像の文字・直せる仕組み・ログイン情報を、企画のときに確認する。
- 根幹は業者に任せ、日々の更新は社内で。代行を頼むなら範囲を確認する。