A06-04:メディアに取り上げられるホームページ
新聞やテレビに取り上げられてみたい、と思ったことはありませんか。実は、その入口になっているのも、会社のホームページです。
取材は、運だけで決まるものではありません。取り上げられやすい会社には、理由があります。
記者やテレビも、まずネットで調べる
新聞記者も、テレビのディレクターも、取材先を探すときは、まずネットで検索します。「面白い会社はないか」「いいネタはないか」と、ネットでネタ探しをしているのです。
つまり、会社のホームページが、取材の入口になっています。お客様や応募者だけでなく、メディアの人もまた、あなたの会社のホームページを見ているのです。
そして今は、地元の新聞や業界の専門誌に載った記事が、そのままネット記事になり、大きなニュースサイトに転載されて広がっていく時代です。小さな1つの記事が、たくさんの人に会社を知ってもらうきっかけになります。
メディアは「みんなが知りたいこと」を探している
ここで、大事なことがあります。メディアは、会社の宣伝を載せたいわけではありません。
記者が探しているのは、読者や視聴者が「知りたい」「面白い」と思うことです。「うちの商品はすごいです」という売り込みでは、取り上げてもらえません。世の中の人が興味を持つネタを出せる会社が、取り上げられるのです。
では、どんなネタなら、みんなが知りたいと思うのでしょうか。
取り上げられやすい切り口がある
記者の目に留まりやすい切り口には、いくつかの型があります。代表的なものを挙げてみます。
- No.1 その分野で一番。売上、シェア、長さ、大きさなど。
- 初(はじめて) 日本で初、地域で初、業界で初。新しい試み。
- 独自 よそにはない、その会社だけの技術や商品。
- 時流(いま話題のこと) 今、世の中が注目していることと結びつく。
- 季節 その季節ならではの話。夏の暑さ対策、年末年始など。
- 人間ドラマ 社長の苦労話、商品が生まれた物語。心を動かす話。
- 地域性 地元の人が愛着を持つ、その土地ならではの話。
- 社会性 環境や福祉など、世の中のためになる取り組み。
自分の会社に、このどれかが当てはまらないか。考えてみてください。1つでも当てはまれば、それは取材のネタになります。
そして、もう1つ。特にテレビは「絵になるか」で決まります。映像が撮れるか、見て面白い画があるか。だからこそ、ホームページに本物の現場の写真や動画を載せておくと、メディアの人が「ここを取材したら、こんな画が撮れそうだ」と、具体的に想像できるのです。前回お話しした、働く現場の写真や動画は、採用だけでなく、取材を呼び込むうえでも生きてきます。
「なんでもできる」より「これ専門」が取材される
取り上げられる会社には、もう1つ共通点があります。何かに尖っていることです。
「なんでもできる町工場」は、記者の記憶に残りません。でも、「医療機器の精密部品だけを削る町工場」なら、記事にしやすい。「煮豆ひとすじ60年の惣菜店」「点字や特殊な印刷だけを手がける印刷所」も同じです。1つに絞った会社は、記者が「これは面白い」と覚えてくれます。
こう言うと、よくこんな声が返ってきます。「うちの工場は、なんでもできる。それなのに、こんなに狭めてしまっていいんですか」
気持ちは、よくわかります。できることを減らすようで、不安になりますよね。でも、ここはあえて尖りましょう。私はこれを「尖れ、トンガリーノ作戦」と呼んでいます(笑)。むずかしく言えば、マイケル・ポーターの集中戦略や、フィリップ・コトラーのニッチ戦略にあたります。なんでも屋のままでは、記者の記憶に残りません。1つに尖った会社が、覚えてもらえるのです。
それに、もし狭めすぎたと感じたら、書き直せばいいんです。看板を作り直すには、何万円もかかります。チラシだったら、全部刷り直しになります。けれど、ホームページなら、低いコストですぐに書き直せます。直せること。これが、ホームページのいちばんの良さです。
長く続いていること自体が、ニュースになる
「うちには、No.1も、初めても、独自の技術もない」そう思う社長もいるかもしれません。でも、見落としている強みがあります。
会社が長く続いていること。それ自体が、立派なニュースになります。
会社が10年続くのは、当たり前のことではありません。中小企業庁の調べでは、創業から10年後まで続いている会社は7割ほど。裏を返せば、3割の会社が10年のうちに姿を消しています。長く続けることは、それだけで難しいことなのです。
だから、長く続いている、地域で根を張っている、何代も受け継いでいる。それ自体が、メディアにとっては取り上げる価値のある話になります。派手な新商品がなくても、続けてきたという事実が、ネタになるのです。
お客様向けの言葉と、記者向けの尖らせ方は違う
ここで1つ、気をつけたいことがあります。お客様に向ける言葉と、記者に向ける言葉は、向ける相手が違うということです。
第3章でお話ししたように、ふだんのお客様には「あなたのために」というメッセージを届けます。お客様の困りごとを、どう解決できるか。それが日常の言葉です。
一方、記者に向けるときは、世の中が「面白い」と思う角度に尖らせます。同じ会社でも、お客様に語るときと、記者に語るときでは、見せ方が変わるのです。両方を混ぜてしまうと、どちらにも届きません。誰に見せるのかを、分けて考えてください。
まずは地元から。いきなり全国は狙わない
メディアと聞くと、全国放送のテレビを思い浮かべるかもしれません。でも、いきなりそこを狙う必要はありません。
まずは、地元の新聞、地元のラジオ、地域のメディア、業界の専門誌です。こうした身近なメディアのほうが、地元の会社、その業界の会社、というだけで、取り上げる動機があります。
そして先にお話ししたとおり、地元や専門の媒体に載った1つの記事が、ネット記事になって広がっていきます。小さなところから始めて、だんだんと知られていく。これが、今の現実的な道のりです。「うちなんて、メディアには無理」と思わずに、まずは身近なところから考えてみてください。
一度載ると、また声がかかる
正直に言うと、一度目の取材は、ほとんど運です。準備をしていても、タイミングや巡り合わせで決まる部分が大きい。
けれど、面白いことがあります。一度メディアに載って、反応がよかった会社には、半年ほどたつと、また声がかかることが多いのです。同じメディアから、あるいは別のメディアから。そうやって、メディアの常連になっていく会社もあります。一度の露出が、次の露出を呼ぶのです。
だからこそ、受け止める準備が大切です。記者があなたの会社を見つけても、ホームページが古いまま、知りたい情報が載っていない、連絡先がわからない。これでは、せっかくの取材の機会を逃してしまいます。
取材されたあとも同じです。放送や掲載のあとは、ホームページに人が一気に押し寄せます。第4章でお話しした、突然の波です。その波を受け止められるよう、ホームページを整えておきましょう。
取材は、狙って作れる
メディアに取り上げられるのは、運だけではありません。切り口を考え、尖らせ、ホームページで見せておく。そうやって、取材される下地は、自分で作れるのです。
ただし、無理に背伸びをする必要はありません。実際にやっていることを、どう見せるか。その尖らせ方には、少しコツがいります。そこは、慣れた人に相談しながら進めるのも1つの手です。
まずは、自分の会社のどこが「みんなが知りたいこと」になるか。そこから考えてみてください。
この記事のまとめ
- 記者もテレビもネットでネタを探す。ホームページが取材の入口になっている。
- メディアは宣伝でなく「みんなが知りたいこと」を探している。No.1・初・独自・時流・季節・人間ドラマ・地域性・社会性が切り口。
- 「なんでもできる」より「これ専門」が取材される。尖れ、トンガリーノ作戦。狭めすぎたら書き直せばいい。
- 長く続いていること自体がニュースになる(10年続く会社は約7割、3割は姿を消す)。
- いきなり全国を狙わず、まずは地元・地域・専門の媒体から。1つの記事がネットで広がる。
- 一度載ると半年後にまた声がかかり、常連になる会社も。取材の機会を逃さないよう受け皿のホームページを整えておく。