A07-01:今のホームページ、作り直すべきか?
「古いから作り直す」の前に
作り直すにも、サーバーを移すにも、まず「何のために変えるのか」から。あわてて全部を捨てる前に、今あるものを測ってみてください。
ホームページを何年か運用していると、「そろそろ作り直したほうがいいだろうか」「サーバーも見直したほうがいいのだろうか」と気になってくる時期があります。
ただ、ここで順番をまちがえると、かえって損をしてしまうことがあります。「古くなったから作り直す」ではなく、まず「何のために変えるのか」を先に決める。今回は、この考え方を中心にお話しします。
リニューアルとサーバーの見直しは、本来は別々の話です。ですが、どちらも「見直しどき」が重なりやすいので、まとめて整理しておきます。
リニューアルを考えるサイン
まず、ホームページそのものを作り直したほうがよいサインから見ていきましょう。だいたい、次のようなときです。
- 見た目が、いかにも古く感じる
- スマートフォンで見ると、文字が小さくて読みづらい(スマホ非対応)
- 何年も運用しているのに、問い合わせや応募がほとんど来ない
このうち、いちばん大事なのは3番です。見た目が古いかどうかよりも、「ホームページが役割を果たせているか」で判断してください。
デザインが多少古くても、きちんと成果が出ているなら、あわてて作り直す必要はありません。逆に、見た目はきれいでも問い合わせがまったく来ないなら、中身に手を入れる必要があります。
でも、作り直す前に確かめてほしいこと
ここで、ぜひ立ち止まっていただきたいことがあります。
「古臭いデザインだから、全部作り直したい」。社長がそう思っていても、実際にアクセス数を測ってみると、意外とたくさんの訪問者が来ていた、というケースがあるのです。
ホームページを全面的に作り直すと、その積み上げてきた資産が、いったんゼロに戻ってしまう危険があります。長く運用してきたホームページには、検索エンジンからの評価や、よそのサイトから貼られたリンクなど、目に見えない財産がたまっています。それを、デザインが古いというだけで全部捨ててしまうのは、もったいない話です。
ですから、リニューアルを考えるなら、その前に「今のホームページに、どれくらい訪問者が来ているのか」をきちんと測ってください。測り方そのものは専門的になりますので、社内で測れなければ、測れる人に頼めば大丈夫です。
実際に、こんな進め方をした会社があります。
古いホームページはそのまま残したまま、別のアドレス(サブドメイン)で、目的に合った新しいサイトを作りました。訪問者を少しずつそちらへ誘導しながら、元のホームページをどうするかを、あらためて検討したのです。そして最終的に、スマートフォンに対応した新しいものに作り替えました。
いきなり全部を捨てるのではなく、新しいものを並べて走らせながら、ゆっくり移していく。じつはこのやり方は、ホームページ制作の現場では、危険を小さくするための定石とされています。古いほうをすぐに止めてしまわず、しばらく並べて様子を見る。それだけで、失敗したときの傷が浅くてすみます。
サーバーを見直すサイン
次に、サーバーのほうです。ホームページの中身はそのままでも、置き場所であるサーバーだけを見直したほうがよい場合があります。次のようなときです。
- ページの表示が、どうも遅い
- セキュリティ面が不安だと感じる
- 最新のWordPressが、うまく動かない
- 料金が、内容に見合っていない気がする
とくに4は、見落とされがちです。当社がお手伝いした中にも、サーバーを見直したら、年額がほぼ半額になったうえに性能まで良くなった、という事例があります。知らないうちに「払いすぎ」になっていた、というわけです。
それから、もうひとつ。今のサーバーのままだと、リニューアルそのものが大変になる、という場合もあります。
サーバーには、いろいろなタイプがあります。たとえば、IT技術にくわしい人にとっては、自由に細かく設定できて柔軟なのだけれど、そのぶん設定がとても難しい、というタイプ。こういうサーバーだと、リニューアルの作業そのものに高い技術が必要で、時間もかかり、その後のメンテナンスにも手間がかかり続けます。つまり、長い目で見るとコストがかさんでいくのです。
一方で、設定できる幅はそれほど広くないけれど、中小企業がふつうに使う分には十分、というタイプもあります。当社で実際に移してみたところ、前のサーバーでは数時間かかると見込んでいた作業が、移転先ではボタンひとつで終わってしまった、ということもありました。
どちらが良い・悪いではありません。「自社にとって、無理なく続けられるのはどちらか」で考えてください。長く付き合っていくものですから、目先の自由度よりも、続けやすさのほうが効いてきます。
毎月・毎年かかるIT費用の見直しについては、別のサイト「中小企業経営者のためのIT活用セミナー」でくわしく解説しています。サーバー代も、その見直しの対象のひとつだと考えてください。
中小企業経営者のためのIT活用セミナー
「B-29:毎月払っているIT費用、見直してみましょう ―使っていないサブスクの探し方と削減のコツ」
サーバー選びで、当社が心がけていること
サーバーを移すとなると、「どこのサーバーがいいのか」が気になると思います。
当社には、おすすめのサーバーがあります。ただ、お客様が別のサーバーを選ばれたとしても、「そのサーバーで、やりたいことがきちんとできるか」を調べて、お知らせするようにしています。
「うちが扱っているものを使ってください」と押し付けるのではなく、お客様がやりたいことを実現できるかどうかを先に確かめる。サーバー選びでは、この姿勢を大切にしています。
なお、具体的なサーバーの比較や、引っ越しの手順は、かなり専門的な話になります。ここでは深入りせず、「そういう専門の作業がある」とだけ覚えておいてください。サーバーの名前についても、この記事ではあえて出しません。気になる方は、個別にご相談いただければお伝えします。
どちらも「何のために変えるか」を先に
リニューアルも、サーバーの移転も、それ自体が目的ではありません。あくまで手段です。
「売上を伸ばしたいのか」「人を採用したいのか」「会社の信頼を高めたいのか」。何のために変えるのかを先に決めれば、どこまで変えればいいのか、いくらかければいいのかも、自然と見えてきます。どんなホームページが自社に合うのかは、本連載の第2章でお話しした「型」の話ともつながってきます。
そしてもうひとつ、知っておいていただきたいことがあります。
もし思い切ってリニューアルして、思ったような反応が出なかったら、どうするか。答えは「元のサイトに戻す」です。
実際の家やビルであれば、建て直しは大変な作業です。お金も時間もかかります。ですがホームページなら、うまくいかなければ、すぐに元に戻せる。これが、ホームページの大きな良さです。
戻したら、そのまま放っておくのではなく、何がよくなかったのかをしっかり振り返ります。そのうえで、あらためてリニューアルの案を考える。失敗が、失敗のままで終わらないのです。
作り直すにしても、サーバーを移すにしても、まずは「何のために変えるのか」から。あわてて全部を捨てる前に、一度立ち止まって、今あるものを測ってみてください。
筆者の余談
サーバーを移すとき、じつはいちばん困るのがメールです。
移転の作業のあいだ、数日のあいだメールの送受信を止める必要があります。さらに、使っているパソコンすべてで、メールソフトの設定をやり直さなければなりません。パソコンの台数が多い会社だと、これがなかなかの大仕事になります。ですので私は、夏休みやお正月休みのあいだに、一気にやってしまうことをおすすめしています。
ところで、私自身は、もうメールソフトを使うのをやめてしまいました。今はブラウザでウェブメールを使っています。
私はノートパソコンを2台と、スマートフォンを1台使っているのですが、ウェブメールにしてからは、どの端末からでも同じように仕事ができます。じつはメールソフトというのは、自分が送信したメールの控えが、そのパソコンの中にしか残らないものなんです。だからパソコンを買い替えるとき、そのデータを移すのがひと苦労で。まあ、その話はまたこんど。
おかげで、サーバーを移しても、私はメールソフトを設定し直す必要がありません。
ただ、ウェブメールにも弱点はあります。インターネットにつながっていないと、基本的に過去のメールが読めません。それから、ログインのためのIDとパスワードの管理は、自分でしっかりやる必要があります。ここのセキュリティだけは、気をつけてください。
どちらが良いという話ではありません。自社の使い方しだいです。ただ、もしパソコンの台数が多くて、サーバーを移すたびに困っているのなら、こういう選択肢もあるんだな、と頭の片隅に置いておいてください。
この記事のまとめ
- 「古いから作り直す」ではなく、まず「何のために変えるか」を先に決める。
- リニューアルのサインは、見た目より「成果が出ているか」で判断する。
- 作り直す前に、今のアクセス数を必ず測る。意外と訪問者がいることがある。
- 全面リニューアルは積み上げた資産を失う危険がある。旧サイトを残して並行で移すと安全。
- サーバーは、遅い・不安・料金が見合わないが見直しのサイン。払いすぎに注意。
- うまくいかなければ、すぐ元に戻せる。これがホームページの良さ。