A05-06:せっかく集めた人を、文章で逃さない
読まれる文章は、読み手のために組み立てます。
第5章、人を集める話です。検索やSNS、広告で人に来てもらっても、文章が読みにくければ、すぐ去られてしまいます。どう書けば読まれるか。技術ではなく、読み手への思いやりの話としてお伝えします。
どんなに人を集めても、読みにくければ去られる
ここまで、人を集める道を見てきました。検索、SNS、広告。どれも、人に来てもらうための入口です。
ですが、来てもらって、おしまいではありません。来た人は、文章を読みます。そこで読みにくいと感じたら、すっと去ってしまうのです。
どんなに立派なことが書いてあっても、ぎっしり詰まって読みにくい文章は、読まれません。せっかく集めた人を逃さないために、読まれる文章に組み立てる。これが、最後の仕上げです。
言いたいことを、絞って、組み立てる
読まれる文章にする、いちばんのコツ。それは、組み立てることです。
思いついたことを、そのまま書き連ねると、読む人は迷子になります。そうではなく、まず、言いたいことを絞る。それから、組み立てる。これだけで、ぐっと読みやすくなります。
ここで、おもしろいことが起きます。組み立てているうちに、自分の言いたいことが、自分でもはっきりしてくるのです。文章を整理する作業は、頭の中を整理する作業でもあります。読む人のためだけでなく、書く自分のためにもなる。これが、組み立てることの、もう1つの効きめです。
それから、要点を、欲張らないこと。人が一度に覚えられる数には、限りがあるからです。心理学では、人が短い時間で覚えられるのは7つ前後(7プラスマイナス2)と言われてきました。近ごろは、4つ前後という説もあります。
ですから、伝えたいことは、3つ、5つ、7つくらいに絞る。あれもこれもと並べるより、数を絞ったほうが、読む人の記憶に残ります。
見出しで、話のまとまりを分ける
組み立てる、と言いました。その具体を、もう少しお話しします。鍵は、見出しです。
長い文章を、ただだらだらと続けてはいけません。話のまとまりごとに区切って、それぞれに見出しをつけます。本に、章があって、節があるように、です。
見出しには、大きさの順番があります。
- いちばん大きいのが、ページの題名です。その記事が何の話か、ひと目でわかる、いちばん上の見出し。1ページに、1つだけです。
- 次が、話のまとまりごとの見出し。文章をいくつかのかたまりに分けて、それぞれに見出しをつけます。
- さらに、その中で細かく分けたいときの、小さな見出し。中見出しの中を、もう一段分けます。
この順番で、大きいものから小さいものへと、入れ子にしていく。そうすると、読む人は、今どの話を読んでいるのか、迷わずにすみます。ざっと見出しだけを追えば、何が書いてあるか、見当がつく。これが、読みやすい文章の骨組みです。
なお、この大・中・小の見出しは、専門の世界では「H1、H2、H3」と呼ばれます。エイチワン、エイチツー、エイチスリーです。覚える必要はありませんが、ホームページ制作業者に「H1、H2、H3で組んでください」と伝えれば、それだけで通じます。頼むときの、共通の言葉として知っておくと便利です。
そして、1つの段落には、1つのこと。あれもこれも詰め込まず、話が変わったら、段落を変える。見出しと段落で、文章に風通しをつくるのです。
むずかしい言葉は、お客様の言葉に直す
もう1つ、大事なことがあります。言葉の選び方です。
社長にとって当たり前の言葉が、お客様には通じないことがあります。業界では毎日使う言葉でも、外の人には、ちんぷんかんぷん。これでは、読んでもらえません。
前に、検索の話で、職人さんの言う「研磨」を、お客様は「サビ 落とし方」と打つ、とお伝えしました。同じことです。読む人の言葉に、直してあげる。
これは、第3章でお話しした「お客様の言葉に翻訳する」ことと、まったく同じ考え方です。自分の言葉で書くのではなく、相手の言葉で書く。むずかしい言葉を使うときは、一言、説明を添える。それだけで、ぐっと親切な文章になります。
書き終わったら、読み返して直す
文章には、書く人それぞれのクセが出ます。よく見かけるのは、こんなクセです。
- 漢字が多すぎる。ひらがなで書いたほうが、やわらかく読めることがあります。
- 1つの文が、長すぎる。句点(。)までが長いと、息が続きません。短く区切りましょう。
- 言葉の表記が、ばらばら。同じものを、別の書き方であちこちに書いてしまう。
こうしたクセは、書いているときには、気づきにくいものです。だから、書き終わったあとに、一度読み返す。これを、文章校正と言います。声に出して読むと、読みにくいところが、よくわかります。
ただし、1つ、正直にお伝えしておきます。私自身の文章も、表記がそろっていないところがあります。けれど、その裏には、たいてい理由があります。わかりやすく伝えるため。専門の言葉を、その場できちんと説明しておくため。あえて、そろえていないのです。
つまり、ルールを杓子定規に守ることが、正解ではありません。大事なのは、読む人にとって、わかりやすいかどうか。整えるのも、あえて崩すのも、すべては読み手のため。そう考えると、校正の手も、迷わなくなります。
組み立てるのは、すべて読み手のため
ここまでお伝えしてきたこと。短く区切る。要点を絞る。やさしい言葉に直す。読み返して整える。
これらは、何のためでしょうか。検索で上に出すため、と思うかもしれません。たしかに、読みやすい文章は、結果として検索にも好かれます。けれど、それは、おまけです。
いちばんの目的は、読んでくれる人に、らくに、正しく伝わること。自分が書きたいように書くのではなく、相手が読みやすいように組み立てる。文章を組み立てるとは、読み手への思いやりを、形にすることなのです。
第3章の「あなたのために」という考え方を、覚えているでしょうか。文章の組み立ても、同じです。読む人の側に立つ人が、最後まで読んでもらえます。
完璧を目指さず、まず書いて、直す
最後に、肩の力を抜く話を。
最初から、上手に書ける人はいません。プロのライターでも、一度で仕上げたりはしません。まず書いてみて、読み返して、直す。その繰り返しで、文章はよくなっていきます。
第4章でお伝えした「やってみて、直す」は、文章でも同じです。きれいに書こうと身構えて、一行も進まないより、へたでもいいから、まず書き出す。そのほうが、ずっと前に進みます。
書くことを、こわがらないでください。あなたの会社のことを、いちばんよく知っているのは、あなたです。その中身さえあれば、組み立ては、あとからいくらでも直せます。
この記事のまとめ
- 人を集めても、文章が読みにくければ去られる。読まれる文章に組み立てるのが、最後の仕上げ。
- 言いたいことを絞って組み立てる。整理すると考えも鮮明になる。要点は3つ、5つ、7つに。
- 見出しで話のまとまりを分ける。大・中・小(H1・H2・H3)の入れ子で、骨組みをつくる。
- むずかしい言葉は、お客様の言葉に直す。第3章「あなたのために」と同じ、読み手への翻訳。
- 書き終わったら読み返して直す(文章校正)。ただし、整えるのも崩すのも、すべて読み手のため。
- 完璧を目指さず、まず書いて、直す。中身さえあれば、組み立ては後から直せる。