A02-01:ホームページにはいろいろな型がある

ひとくちにホームページと言っても、いろいろな「型」があります。

第1章で、ホームページは「住所・土地・建物」の3つでできているとお話ししました。今度は、その建物をどんな間取りにするか、という話です。同じ家でも、住む目的が変われば間取りが変わります。ホームページも同じです。

目次

同じ家でも、目的で間取りが変わる

第1章で、ホームページを家にたとえました。ドメインが住所、サーバーが土地、ホームページ本体が建物です。

では、その建物をどう建てるか。ここで多くの経営者がつまずきます。「とりあえずホームページを作ろう」と動き出して、何のために作るのかを決めないまま、なんとなく形にしてしまう。すると、立派な建物はできたのに、思っていた成果が出ない、ということが起こります。

家を建てるとき、家族で住むのか、お店を開くのか、人を雇って働くのかで、間取りはまるで変わります。ホームページも、何をさせたいかで型が変わります。まずはどんな型があるのかを知っておきましょう。選ぶのはそのあとで大丈夫です。

ホームページの型は、大きく分けるとこうなります。

  • 会社案内型:会社があることの証明(守り)
  • サービス受注型:知ってもらって、相談される(攻め)
  • ネット販売型:その場で売る、予約を取る(攻め)
  • 集客発信型:情報を発信して人を集める(攻め)
  • 求人採用型:人を雇う(攻め)

ひとつずつ、見ていきましょう。

①会社案内型:会社があることの証明

ひとつ目は、会社案内型です。「コーポレートサイト」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、その多くがこの型にあたります。守りの器とも言えます。

世の中のホームページには、「会社がちゃんと存在している」ことを示すためのものが、たくさんあります。会社の名前、所在地、事業内容、沿革。こういった基本情報をきちんと載せて、「私たちは、こういう会社です」と示す。これが会社案内型です。

このタイプは、自分から仕事を取りに行くというより、見に来た人を安心させるための器です。あって当たり前、無いと不安。そういう存在です。

たとえば、銀行です。融資を考えるとき、銀行は必ずその会社のホームページを見ます。そこに表彰された実績やメディアに出たことが載っていれば、信用の後押しになります。融資が通りやすくなることもあります。取引先も、求職者も、同じように見ています。お客様だけがホームページを見ているわけではないのです。

このあたりの「誰が見ているか」という話は、第6章でくわしくお話しします。

ここで大事なことをひとつ。会社案内型は、確かに必要です。けれど、これだけでは仕事は増えません。会社があることを証明しても、新しいお客様が向こうからやってくるわけではないからです。「ホームページを作ったのに、問い合わせが来ない」という声の多くは、実はこの会社案内型だけを作って、攻めの成果を期待してしまっている場合です。

ここから先は、自分から成果を取りに行く、攻めの型です。

②サービス受注型:知ってもらって、相談される

いちばん多いのが、自社の商品やサービスを知ってもらって、問い合わせや受注につなげる型です。会社案内型と見た目はよく似ています。会社紹介があって、サービスの説明があって、問い合わせフォームがある。部品は同じです。

でも、目的がまるで違います。会社案内型が「うちはこういう会社です」で終わるのに対し、このサービス受注型は「あなたのこの悩みを、うちが解決します」と、相手に呼びかけます。同じような見た目でも、証明で終わらせるか、受注の入口にするかで、中身がまったく変わってくるのです。

問い合わせや見積もりだけでなく、「くわしい資料をお送りします」と資料請求で接点をつくるのも、この型の入口のひとつです。いきなり契約とはいかない商売ほど、まず一歩踏み出してもらう入口が大事になります。

当社のお客様にも、こんな例があります。もともとは大手企業の下請けが仕事の中心だった製造業の会社が、ホームページから自分たちで新しい取引先を探せるようにしたいと、一緒に作り込んできました。今では、会社の売上のほとんどが、ホームページと口コミから生まれています。会社案内で終わらせず、受注の器として育てた一例です。

商品によっては、ひとつひとつ仕様が違って、その場で値段が出せないものもあります。そういう場合は、商品を見てもらったうえで「まずはご相談・お見積もりを」と進ませる形になります。製造業や、オーダーメイドの仕事に多い形です。

含まれるもの:

  • サービス紹介+お問い合わせフォーム
  • 見積もり・相談フォーム
  • 資料請求の受付
  • オーダーメイドの相談受付

③ネット販売型:その場で売る、予約を取る

お店のように、ホームページの上で直接売り買いをする型もあります。買い物かごがあって、その場で注文と支払いができる、いわゆる通販サイトです。

飲食店やサロン、クリニックのように、カレンダーで予約を受け付けるのも、このネット販売型の仲間です。席や時間をその場で押さえてもらう、という意味では、売るのと同じだからです。最近は、料理を注文して届けるデリバリーも、この予約・受付の延長にあります。

ただし、この型は気をつける点があります。とくに通販は、いきなり自前のサイトから始めると、うまくいかないことが多いのです。この話は、「A02-03:通販を始める前に。成功の階段を一段ずつ」でくわしくお話しします。

それから、すべての商売に立派な予約システムが要るわけではありません。たとえば町のラーメン屋さんなら、電話番号がきちんと載っていれば、それで十分なこともあります。自分の商売に何が必要かを見きわめることが大事です。

含まれるもの:

  • 通販サイト(買い物かご・決済つき)
  • 予約・受付サイト(カレンダー予約)
  • デリバリーの注文受付

④集客発信型:人を集める

すぐに売り買いをするのではなく、まず人を集めることを目的にした型もあります。

役に立つ情報を継続して発信して、少しずつ読者を増やしていく。ブログのような形です。当社の場合も、このホームページ活用の解説や、別のIT経営の解説サイトを通じて、こうして情報を出し続けています。すぐ売上にはなりませんが、信頼が積み上がっていきます。

もうひとつ、1ページだけで完結させて、ひとつの行動だけに絞り込む型もあります。たとえば「この商品の申し込み」だけに集中させたページです。LP(ランディングページ)と呼びます。

ただ、同じ「人を集める」でも、ブログとLPはやり方が逆です。ブログは時間をかけて無料で読者を増やしていくのに対し、LPは有料のネット広告とセットで使うのがふつうです。広告でこのページに人を連れてきて、その場で申し込んでもらう。いわば、広告の受け皿となる窓口です。広告については第5章でくわしくお話しします。

含まれるもの:

  • ブログ・情報発信サイト(無料でじっくり集める)
  • LP(広告とセットで使う、申し込みの受け皿)

⑤求人採用型:人を雇う

求職者に向けて、働く環境や仕事の中身を伝える、採用専用のホームページもあります。今は応募者のほとんどが、応募する前に会社のホームページを見ます。中小企業こそ、ここが効きます。

似た使い方として、業務提携先やフランチャイズのオーナーを募るのも、この型の仲間です。一緒にやっていく相手を探すという点では、求人と同じだからです。

採用のためのホームページについては、第6章でくわしくお話しします。

含まれるもの:

  • 採用・求人サイト(募集要項・エントリーフォーム)
  • 業務提携・フランチャイズの募集

型は、欲張らないほうがいい

ここまで、5つの型を見てきました。気をつけてほしいのは、全部を一度に詰め込もうとしないことです。

あれもこれもと欲張ると、結局どれも中途半端になって、見に来た人が迷子になります。まずは、自分の会社がホームページに何をいちばんさせたいのか。そこを決めることが先です。

それと、第1章でAIのお話をしたときにも触れましたが、最初に「会社案内が1枚あればいい」とだけ考えて作ってしまうと、あとからブログや求人のページを足したくなったときに、足しにくい作りになっていることがあります。今すぐ全部は要りませんが、あとから育てられる作りになっているか。ここは頭の片隅に置いておくと安心です。

では、自分の会社にはどの型が向いているのか。次の「A02-02:業種別・目的別、どの型が向いているか?」で、業種や目的にそって考えていきます。

この記事のまとめ

コレだけ!1分で復習
  • ホームページには「守りの会社案内型」と「攻めの4つの型」がある
  • 会社案内型(コーポレートサイト)だけでは仕事は増えない
  • 攻めの型は「サービス受注/ネット販売/集客発信/求人採用」の4つ
  • 全部を欲張らず、まず何をさせたいかを決める。あとから育てられる作りにしておく
小田朋和
(有)イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・中立・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、「難しいと思っていたITが、楽しく理解できた」という声をいただいています。「社長」よりも、「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
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