A06-01:ホームページは、お客様だけが見ているのではない
ホームページは、お客様だけが見ているのではない
取引先も、応募者も、銀行も、メディアも、そして同業者も見ています。「誰が見ているか」を思い浮かべて作ると、ホームページは会社の信頼を育てる味方になります。
ホームページは、お客様に商品やサービスを買ってもらうための道具。そう思っている経営者の方は、多いかもしれません。
もちろん、それは大切な役割の1つです。でも、あなたのホームページを見ているのは、お客様だけではありません。
実は、思いがけない人たちが、あなたの会社のホームページを見ています。そして、その人たちが見ているということを知っておくと、ホームページの作り方が変わってきます。
今回は、その「お客様以外の見ている人たち」の話から始めましょう。
ホームページは、いろいろな人が見ている
お客様のほかに、どんな人があなたのホームページを見ているのでしょうか。たとえば、こんな人たちです。
- 取引を始めようとしている会社
- 就職・転職を考えている人
- 融資を判断する銀行
- 取材先を探しているメディア
- 同業者
1つずつ見ていきましょう。
まず、取引先です。新しく取引を始めようとする会社は、相手がどんな会社かをホームページで確認します。きちんとしたホームページがあるだけで、安心してもらえることがあります。
次に、就職や転職を考えている人です。求人を見て興味を持った人は、応募する前に必ず会社のホームページを調べます。どんな会社なのか、どんな人が働いているのか。それを確かめてから、応募するかどうかを決めます。
そして、銀行です。融資を考えるとき、銀行の担当者は会社のホームページを見ています。受賞歴やメディアに取り上げられた実績があれば、それが信頼につながり、融資の判断にも良い影響を与えることがあります。
さらに、新聞やテレビなどのメディアの記者も、取材先を探すときにホームページを見ています。
同業者については、少し意外な見方があります。これはあとで、あらためてお話しします。
このように、ホームページは、いろいろな立場の人が、いろいろな目的で見ているのです。
「売る」以外の役割がある
ここまで読んでお気づきかもしれません。ホームページには、「商品を売る」以外の役割があります。
会社の信頼を伝える。働きたい人を集める。取引の入口になる。取材のきっかけになる。
ホームページは、会社の「顔」です。一度作っておけば、あなたが寝ている間も、いろいろな人に会社のことを伝え続けてくれます。
この第6章では、その「売る以外の役割」を、1つずつ詳しく見ていきます。求人にどう効くのか。メディアに取り上げられるには何が必要か。会社の信頼と、会社で働く人を、ホームページでどう育てていくか。その話をしていきます。
求人にも、いくつかの種類がある
さきほど、就職を考えている人がホームページを見る、という話をしました。ここで1つ、お伝えしておきたいことがあります。
「求人」と聞くと、社員の募集を思い浮かべる方が多いと思います。でも、ホームページで募集できるのは、社員だけではありません。
- 社員の募集
- 業務提携の相手探し
- フランチャイズの加盟店募集
社員を採るだけが求人ではありません。一緒に仕事をする提携先を探したり、自社の看板で店を出してくれる加盟店を募ったり。人や会社とのつながりを広げることも、ホームページの大切な役割です。
つまり、求人ページは「人を採る場所」であると同時に、「会社の仲間を増やす場所」でもあるのです。
同業者も、あなたのホームページを見ている
さて、さきほど少し触れた「同業者」の話です。
同業者があなたのホームページを見ている、と聞くと、あまり良い気はしないかもしれません。たしかに、ライバルとして、どんな商品をいくらで売っているのかを偵察している同業者もいます。
でも、もう1つ、まったく違う目的で見ている同業者がいます。
それは、自分の苦手な分野を、得意な会社に任せたいと考えている同業者です。
どんな会社にも、得意な分野と、そうでない分野があります。「この仕事は受けたいけれど、ここの部分は自分のところでは手に余る」。そんなとき、その部分を任せられる会社を、同業者の中から探すことがあるのです。
これは、さきほどの業務提携の一種です。そして、あなたのホームページは、その同業者にとって「ここなら任せられそうだ」と判断する材料になります。
以前、「A03-03:強みは、見つからなければ作ればいい」で、「これまで他の業種に売っていた商品を、同じ業種の会社に売ってみては」というお話をしました。あれと、ちょうど表裏の関係です。あちらは、あなたが同業者に売りに行く話。こちらは、同業者のほうから、あなたに声をかけてくる話です。
ライバルだと思っていた相手が、実は仕事を持ってきてくれる相手になる。ホームページは、そんなつながりの入口にもなるのです。
だからといって、全員に向けて1枚で作らない
ここまで読んで、こう思った方がいるかもしれません。「では、お客様にも、取引先にも、応募者にも、銀行にも、全部に向けて書けばいいのか」と。
ところが、そうではありません。
以前の回で、「20文字で何の専門店かを言えるように」というお話をしました。あれもこれもと欲張ると、結局、何の会社なのかがぼやけてしまう。これは、見てほしい相手についても同じです。1枚のページで全員に語りかけようとすると、誰の心にも届かないページになってしまいます。
では、どうするか。相手ごとに、届け方を分けるのです。
たとえば、社員を募集するための「採用情報」のページ。取材を受けたい会社なら「取材をご希望の方へ」というページ。このように、相手に合わせて入口を用意します。サイトの規模が大きくなれば、ホームページのアドレス(住所)を分けて見せる方法もあります(これは型の回で詳しくお話ししました)。トップページで「お客様はこちら」「採用情報はこちら」と入口を分けておくだけでも、ずいぶん見やすくなります。
大きな会社のホームページを見ると、このことがよくわかります。「採用情報」はもちろん、「株主・投資家の皆様」という入口まで、相手ごとにきれいに分かれています。いろいろな人が見ていることを前提に、相手に応じて見せ方を変えているのです。中小企業がそこまでやる必要はありませんが、発想は同じです。誰に見せるのかを意識して、必要なら入口を分ける。
一方で、相手をはっきり書かないほうがいい場合もあります。
それが、さきほどの銀行です。「銀行の方へ」というページを作る会社は、あまりありません。そのかわり、受賞歴やメディアに取り上げられた実績、長く続いてきた会社の歴史を、さりげなく載せておく。見る人が見れば、伝わります。
相手を明示する場合と、あえて明示しない場合がある。その使い分けこそが、「見られていることを前提にホームページを作る」ということなのです。
ところで、御社のホームページは
ところで、御社のホームページの現状は、どうなっているでしょうか。
一度、お客様ではない誰かの目で、ご自身のホームページをのぞいてみてください。とくに気をつけたいのが、お知らせ欄です。お知らせの日付が数年前で止まっていると、見に来た人は「この会社、今も元気にやっているのかな」と、つい不安になってしまいます。せっかくいろいろな人が見てくれているのに、これはもったいない。
かくいう当社も、お客様のホームページ制作などがどうしても優先になり、自社のホームページは数年ほったらかし。。そして、ことあるごとに全面リニューアルしています。人のことは言えません。
ホームページは、お客様だけが見ているのではありません。取引先も、これから働きたい人も、銀行も、メディアも、そして同業者も見ています。
「誰が見ているか」を思い浮かべながら作る。たったそれだけのことで、ホームページは、会社の信頼を育てる強い味方になります。
この第6章では、その1つひとつを、これから詳しく見ていきましょう。
この記事のまとめ
- ホームページを見ているのは、お客様だけではない。取引先・応募者・銀行・メディア・同業者も見ている。
- ホームページには「売る」以外の役割がある。会社の信頼を伝え、人を集め、つながりを広げる「会社の顔」になる。
- 求人は社員募集だけでなく、業務提携やフランチャイズの募集も含まれる。
- 同業者は、ライバルとしてだけでなく、苦手分野の外注先を探して見ていることもある。ホームページが、その入口になる。
- 全員に向けて1枚で作らない。相手ごとに入口を分け、銀行のように「あえて明示しない」相手もいる。