A05-04:広告は、効く時と効かない時がある
広告は、効く時に打たないと、お金を捨てることになります。
第5章、人を集める道の話です。広告は、お金をかけて看板を立てる道。すぐ効きますが、効く時と効かない時があります。見極めを間違えると、お金だけが出ていきます。考え方をお伝えします。
広告は、すぐ効く。でも、お金が出ていき続ける
人を集める道のうち、広告には、はっきりした特徴があります。すぐに効くことです。
検索やSNSは、育つまで時間がかかりました。広告は違います。お金を払って看板を立てれば、その日から人が来ます。速さが、いちばんの長所です。
ただし、裏返しの短所があります。出しているあいだ、ずっとお金が出ていくのです。そして、止めたとたん、人も止まります。
検索やSNSは、一度育てれば、払い続けなくても人が来てくれました。広告は、そうはいきません。蛇口をひねっているあいだだけ、水が出る。そういう道です。だから、使いどころを選ぶ必要があります。
広告にも、いくつか種類があります
ひとくちに広告と言っても、いくつか種類があります。ざっくりでかまいませんので、押さえておきましょう。
ひとつは、検索したときに出てくる広告です。何かをキーワードで検索したとき、その検索結果のそばに表示されるもの。探している人の目に入る広告です。
もうひとつが、SNSの広告です。前の記事で、SNSは無料で使えるとお話ししました。投稿して発信する、あの使い方ですね。それとは別に、お金を払って広告を出す使い方もあるのです。
このSNS広告には、おもしろい特徴があります。広告を見せる相手を、細かく選べるのです。たとえば「40代・男性・経営者・東京の東部に住んでいるらしい人」だけに見せる、といったことができます。これを、ターゲット広告と言います。SNS広告の中の、ターゲット広告。少しややこしいですね。
うまく相手を絞れれば、無駄なくお金を使えます。ただし、誰に見せるかを間違えると、お金だけが出ていきます。
社会の大波には、逆らえない
広告が効くか効かないかは、何で決まるのでしょうか。大きいのは、世の中の波です。
たとえば、アイスクリーム。夏には、よく売れます。冬には、あまり売れません。これは、1つの会社の力では、どうにもならない大きな波です。
夏に、アイスの広告を打つ。これは効きます。売れる時期に、後押しをするからです。波に乗る、と言ってもいいでしょう。
逆に、冬に、アイスの広告をいくら打っても、なかなか売れません。波に逆らっているからです。これは、お金を捨てるようなものです。
広告は、需要のある時期に乗せると効きます。需要のないところに、いくらお金を出しても、効きません。第4章でお話しした「アクセスの波」を思い出してください。自社の商品に、いつ波が来るか。それを見て打つ。これが、いちばんの基本です。
土台がないまま、いきなり広告に走らない
もうひとつ、気をつけたいことがあります。広告に慣れた人ほど、おちいりやすい落とし穴です。
地道な土台づくり。検索で見つけてもらう工夫や、記事を少しずつ増やすこと。こうした手間を飛ばして、いきなり広告に走ってしまうのです。すぐ効くからです。
ですが、土台がないまま広告だけ打つと、どうなるか。お金をかけて人を呼んでも、たどり着いた先のホームページが、中身の薄いものだったら。来た人は、がっかりして帰ってしまいます。
お金をかけて呼んだお客様が、素通りしていく。これほど、もったいないことはありません。受け皿が整っていない状態で広告を打つのは、穴のあいたバケツに、水を注ぐようなものです。
この受け皿の話は、この先の「A05-07:人を集めても、受け皿が悪いと成果は出ない」でくわしくお伝えします。
広告費は、「回収できるか」で考える
広告を考えるとき、社長に持ってほしい見方があります。「いくらかかるか」ではなく、「かけたお金が、いくらになって返ってくるか」です。
たとえば、1万円の広告を打ったとします。これで、商品が1つも売れなければ、1万円は出ていくだけです。けれど、その1万円で5万円ぶん売れたなら、広告は立派に働いたことになります。
ここで効いてくるのが、第4章でお話しした、コンバージョンレートです。広告で来た人のうち、何人が買ってくれたか。この割合が、広告の採算を決めます。
来た人が、ちゃんと買ってくれる仕組み。それができてから広告を足すと、かけたお金が、増えて返ってきます。仕組みがないまま広告を足すと、かけたお金は、ただ出ていきます。広告は、最後の一押しです。最初の一手では、ありません。
数万円から、小さくテストする
とはいえ、効くか効かないかは、やってみないとわからない面もあります。
うれしいことに、広告は、数万円ほどの予算から始められます。いきなり大金を投じる必要は、ありません。
ですから、まず小さく試すのです。少しの予算で出してみて、反応を見る。効きそうなら、少しずつ予算を増やす。効かなければ、見せ方や相手を変えて、また試す。小さく試して、改良する。この繰り返しが、いちばん確実です。
第4章でお伝えした「やってみて、直す」は、広告でも同じです。一発で当てようとせず、試しながら、当たりを探していきましょう。
やめたとき、何が残るかを、先に考える
最後に、広告を打つ前に、考えておいてほしいことがあります。広告を止めたとき、何が残るか、です。
広告は、止めれば人も止まります。お金が出ていって、それで終わり。それでは、もったいない。
そうならないよう、広告で来てくれた人と、縁をつないでおくのです。SNSをフォローしてもらう。会員になってもらう。次の案内を送れるようにしておく。そうすれば、広告を止めたあとも、つながりが残ります。
お金をかけて呼んだお客様を、一度きりで終わらせない。来てくれたこのご縁を、どう次につなげるか。それを、広告を打つ前に決めておく。これが、お金を生かす使い方です。
筆者の余談
私は個人で、母校の大学のOB会に、ボランティアで関わっています。卒業生のつながりを、細く長く保つための集まりです。
あるとき、母校で無料のイベントを開くことになりました。せっかくなら、より多くの卒業生に来てほしい。そこで、限られた広告予算の一部で、SNSのターゲット広告を試してみました。
関東圏に住んでいる大学の卒業生らしい人を選んで、イベントのお知らせを見せる。そして「予算がいくらになったら、広告を止める」と、先に決めておきました。小さく、区切って試したのです。
すると、何十人かが、イベントに来てくれました。集まった卒業生に、こうお伝えします。「実は、このイベントはOB会という組織が運営しています。よろしければ、あなたも入会しませんか」と。
広告で人に来てもらい、来てくれた人と、その先の縁をつなぐ。本文でお話ししたことを、私自身、小さな予算で体験しました。広告は、打って終わりではありません。来てくれた人と、どうつながるか。そこまで考えると、かけたお金が、生きてくるのです。
この記事のまとめ
- 広告はすぐ効くが、出しているあいだお金が出続け、止めれば人も止まる。使いどころを選ぶ。
- 広告には種類がある。検索広告、SNS広告、相手を細かく選ぶターゲット広告。
- 社会の大波には逆らえない。需要のある時期に打てば効き、ない時期に打てばお金を捨てる。
- 土台がないまま広告に走らない。受け皿が貧しいと、呼んだお客様が素通りする。
- 広告費は「回収できるか」で考える。仕組みができてから足すと、増えて返ってくる。
- 数万円から小さくテストし、改良する。広告を止めても残る縁を、先に考えておく。