A05-03:SNS・AI検索時代の発信

SNSは、借りる場所を選んで使います。

第5章、人を集める道の話です。SNSは、人通りの多い大通りから、ふらりと寄ってもらう道。ただし、土地を借りて発信する道でもあります。どう選び、どう使うか。考え方をお伝えします。

目次

SNSは「借りた土地」、ホームページは「自分の土地」

SNSと、ホームページ。この2つの違いを、はっきりさせておきましょう。

SNSは、人が大勢います。無料で、すぐに始められます。とても便利です。

ただ、ひとつ覚えておいてほしいことがあります。SNSは、借りた土地です。土地の持ち主は、別にいます。

ルールが変わったり、アカウントが急に止まったり、サービスそのものが終わったり。そうなると、積み上げてきた発信が、一夜で消えることもあります。借りた土地は、いつまでも自分のものではないのです。

その点、ホームページは自分の土地です。誰かの都合で消されることはありません。だから、SNSは入口、ホームページは本拠地。こう考えてください。両方を、使い分けるのです。

そもそもSNSで、何ができるのか

そもそもSNSとは、何ができる場所なのでしょうか。先に、おおまかに押さえておきましょう。

SNSは、無料で使えます。お金をかけずに、会社の発信ができる。これが、いちばんの魅力です。

ただ、ひとくちにSNSと言っても、中身はずいぶん違います。違いは、大きく2つあります。

ひとつは、投稿できるものの種類です。文章が中心のもの、写真が中心のもの、動画しか出せないもの。SNSによって、得意なかたちが違います。

もうひとつは、集まっている人です。若い人が多い場、年配の方も多い場、仕事のつながりが中心の場。年齢層も、目的も、SNSごとに違います。

だから、選び方が大事になります。自社の見せたいもの(写真か、文章か、動画か)と、来てほしいお客様。この2つに合う場所を選ぶ。次に、おおまかな性格を並べてみます。

どのSNSを使うか、お客様がいる場所で選ぶ

ひとくちにSNSと言っても、たくさんあります。それぞれ、いる人も、雰囲気も違います。

全部やろうとすると、続きません。だから、1つか2つに絞ります。選ぶ基準は、ひとつ。自社のお客様が、どこにいるか、です。

おおまかな性格を、並べておきます。

  1. LINE ── あらゆる年代が使う、連絡の道。お得意様へのお知らせや、また来てもらう声かけに向きます。
  2. Instagram ── 写真や動画で見せる道。料理、お店、商品、空間。目で伝わる商売に向きます。
  3. X ── 早さと言葉の道。お知らせや、その時々の話題に乗った発信に向きます。
  4. Facebook ── 実名で使う、ややかための場。経営者や取引先など、仕事のつながりに向きます。
  5. 動画(YouTubeなど) ── 手間はかかりますが、伝わる力が強い。職人の技や、使い方の実演に向きます。

実際、中小企業の経営者には、Facebookを使っている方が少なくありません。経営者どうしのつながりが生まれやすいからです。会社と会社の取引(BtoB)で、経営者に直接届けたいなら、相性のいい場です。

ただし、コツがあります。売り込みばかりの投稿は、敬遠されます。読む人は、商売の宣伝を見に来ているわけではないからです。

趣味の話や、日々の出来事。そうした人柄の見える投稿が9割、会社のお知らせは1割くらい。それくらいの割合が、ちょうどいいと言われます。まず人として知ってもらい、信頼が生まれてから、仕事の話が届く。順番が、大切なのです。

大事なのは、「この業種ならこれ」と決めつけないことです。自分のお客様は、どこにいて、何を見たいか。そこから考えると、選ぶ場所が見えてきます。第3章でお話しした「誰に見せるか」と、同じ考え方です。

SNSは、続けるのがいちばん難しい

SNSには、気をつけたいことがあります。始めるのは簡単ですが、見てもらえるまでが長いのです。

毎日のように発信し続けないと、たくさんの投稿に埋もれてしまいます。本業が忙しい中小企業にとって、ここがいちばんの重荷です。

続かない会社には、共通点があります。決めごとをせずに、なんとなく始めてしまうのです。

ですから、使うと決めたら、先に3つを決めておきます。誰が投稿するか。どんな内容を出すか。どれくらいの頻度で出すか。この役割分担を決めておかないと、たいてい長続きしません。

頻度は、商売に合わせて、無理のない形で構いません。たとえば、こんな具合です。

  1. 数か月に1度、定休日のお知らせ。
  2. 月に2度、施設でのイベント情報。
  3. 飲食店なら、毎日の日替わりメニューの写真。

それから、もうひとつ。費用のことです。

SNSそのものは、無料で使えます。ただ、運用がタダというわけではありません。投稿する人の手間が、必ずかかるからです。

外部の会社に頼めば、その費用がかかります。社内でやる場合も、担当者の時間を使います。これも、立派なコストです。

だから、社内でやるなら、1記事いくら、と手当を決めておくのもひとつの方法です。担当者の頑張りに、きちんと報いる。そうすると、続けやすくなります。

「無料だから」と軽く始めると、誰も手をつけず、いつのまにか止まる。そうならないよう、手間にかかる費用も、最初に見ておきましょう。

毎日でなくてもいいのです。大事なのは、決めた頻度を、無理なく続けること。全部やろうとせず、1つを、細く長く。途中でやめてしまうより、ずっといい結果になります。

AIに答えてもらう時代の発信

前の記事で、検索結果の上に、AIが答えをまとめて出すようになってきた、とお話ししました。

この流れは、SNSにも関わります。最近は、AIがSNSの投稿も参考にして、答えを作ることがあるからです。

ただ、ここでも土台は変わりません。正しくて、役立つことを、自分の言葉で発信する。これさえできていれば、かたちが変わっても通用します。

逆に言えば、SNSで一時的に話題になっても、本拠地であるホームページに中身がなければ、AIにも人にも信頼されません。流行りを追いかけるより、自分の土地を厚くする。そのほうが、長く効きます。

SNSの先には、必ずホームページを置く

最後に、いちばん大事なことを。

SNSで興味を持った人は、必ず会社を調べます。「ここは、どんな会社だろう」と。そのとき行き着く先が、自分の土地=ホームページです。

SNSは入口。ホームページは、その人を受け止める場所。だから、SNSを始めるなら、その前に、受け止めるホームページを整えておく必要があります。

せっかく入口に人を集めても、受け止める場所が貧しければ、成果になりません。この受け皿の話は、この先のA05-07:人を集めても、受け皿が悪いと成果は出ないでくわしくお伝えします。

借りた土地で集めて、自分の土地で迎える。この形を、覚えておいてください。

この記事のまとめ

コレだけ!1分で復習
  • SNSは借りた土地、ホームページは自分の土地。SNSは入口、HPは本拠地として使い分ける。
  • どのSNSを使うかは、自社のお客様がいる場所で選ぶ。全部やらず、1つか2つに絞る。
  • 続けるには、誰が・何を・どれくらいを先に決める。決めごとがないと長続きしない。
  • SNSは無料でも、運用の手間は無料ではない。担当者の手当など、費用を見ておく。
  • AIが答える時代も、土台は同じ。正しく役立つことを、自分の言葉で発信する。
  • SNSの先には必ずホームページを置く。借りた土地で集めて、自分の土地で迎える。
小田朋和
(有)イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・中立・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、「難しいと思っていたITが、楽しく理解できた」という声をいただいています。「社長」よりも、「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
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