A04-04:アクセスの波を、経営に活かす
見えた波は、経営に使いましょう。
前の記事で、アクセスには波があるとお話ししました。波は、見て終わりではもったいない。読めた波は仕込み、突然の山には備える。その考え方をお伝えします。
波は、見るだけではもったいない
前の記事(「A04-03:解析でわかった、アクセスの波」)で、アクセスの波 ── ホームページにいらっしゃる訪問者数の波 ── には、いろいろな形があるとお話ししました。曜日の波、月の波、季節の波。そして、突然そびえる1回きりの山。
ただ、波が見えただけでは、何も変わりません。「へえ、うちは土日型なんだ」で終わってしまっては、もったいない。
大事なのは、見えた波を経営に活かすことです。
波には、性質の違う2種類がありました。繰り返しやってくる波と、突然の山。この2つは、活かし方がまったく違います。順番に見ていきましょう。
繰り返す波は、仕込める
まず、繰り返しやってくる波。曜日や季節の波です。
これのいいところは、あらかじめ読めることです。去年の夏に山が来たなら、今年の夏も来る可能性が高い。土日に人が増えるなら、来週の土日も増える。読めるなら、先に手を打てます。
たとえば、山が来るとわかっているなら、その前に準備ができます。
- 01. 在庫や仕入れを、山に合わせて整える。
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よく動く時期に品切れを起こさないよう、早めに仕込んでおく。逆に、波が引く時期に在庫を抱えすぎない。
- 02. 人手を、山に合わせて配置する。
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問い合わせや注文が増える時期に、対応できる人を厚くしておく。
- 03. 情報の出しどきを、山に合わせる。
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お客様の関心が高まる時期に合わせて、ホームページの中身を新しくしたり、おすすめを前に出したりする。
サーフィンと同じです。波は自分で起こせませんが、来る波を読んで、そこに乗ることはできます。繰り返す波は、そういう「乗れる波」です。
突然の山は、備えておく
次に、突然の山。メディアで紹介されたり、SNSで話題になったときの、1回きりの山です。
こちらは、繰り返す波と違って、読めません。いつ来るか、来るかどうかも、わからない。だから「仕込む」ことはできません。
できるのは、「備えておく」ことです。
メディアで取り上げられると、ふだんとは桁違いの人が、一気に押し寄せます。テレビで紹介されれば、その数は想像を超えることもあります。せっかくの大きなチャンスです。
ところが、この山が来たときに、受け止める準備ができていない会社が、とても多いのです。
問い合わせが殺到しても、返事が追いつかない。注文が増えても、すぐに品切れになる。ホームページに人が来ても、肝心の情報が古いまま。これでは、せっかくの山が、ただ過ぎ去るだけになってしまいます。
いつ来てもいいように、最低限の備えはしておく。問い合わせ窓口を整えておく。よく聞かれることへの答えを、用意しておく。それだけでも、突然の山を取りこぼさずにすみます。
山を、続く需要と勘違いしない
ここで、ひとつ気をつけたいことがあります。前の記事で「この山が、ずっと続くとは限らない」とお伝えした、その話です。
突然の山が来ると、うれしくなります。これだけ反応があるなら、これからもずっと売れ続けるに違いない。そう思いたくなります。
でも、ここに落とし穴があります。
実際にあった話です。ある商品が、たまたま時流に乗って、メディアで大きく取り上げられました。注文がどっと増えた。これはいける、と判断して、設備を増やし、在庫もたくさん抱えた。
ところが、ブームは1年ともちませんでした。流行が過ぎると、商品はぱたりと見向きされなくなった。残ったのは、増やした設備と、売れない在庫だけ。
アクセス解析例:ブーム終焉型

(※具体的な数字は非公開。形だけ見て下さい)
突然の山は、あくまで1回きりかもしれない山です。繰り返しやってくる波とは、性質が違います。山の高さに浮かれて大きく動くと、波が引いたときに足をすくわれます。
山が来たら、まずは冷静に取りこぼさず受け止める。そのうえで、これが1回きりの山なのか、それとも本物の需要の始まりなのか。少し時間をかけて見極める。あわてて大きく動かない。これが、突然の山との正しい付き合い方です。
受け皿がなければ、山も波も無駄になる
繰り返す波も、突然の山も、共通して大事なことがあります。
それは、お客様を受け止める「受け皿」です。
どんなに人が来てくれても、来たあとのホームページが整っていなければ、成果にはつながりません。商品の情報がわかりにくい。問い合わせ先が見つからない。買い方が複雑。これでは、せっかく来てくれたお客様が、そのまま帰ってしまいます。
波に乗るための準備も大事ですが、来てくれた人を逃さない準備も、同じくらい大事です。この「受け皿」の話は、また別の章でくわしくお話しします。
まずは、波を読んで仕込む、山に備える。そして、来た人を受け止める。この3つを意識してください。
波に振り回されず、波を使う
アクセスの波は、お客様の動きが映ったものです。読めば、商売のリズムが見えてきます。
繰り返す波は、読んで先に仕込む。突然の山は、いつでも受け止められるよう備える。そして、山が来ても浮かれず、冷静に見極める。
波に振り回されるのではなく、波を使う。そういう経営ができると、ホームページは「ただの会社案内」から「商売の道具」に変わっていきます。
数字の波は、怖いものではありません。読み方さえわかれば、頼れる味方になります。
筆者の余談
ある商店が、テレビの取材を受けました。
放送のあと数日は、電話が鳴り止みません。「見たよー!」というお祝いの声が、次から次へとかかってくる。みんなに祝福されて、社長はうれしい。けれど、ひとつ困ったことがありました。電話の応対に追われて、肝心の仕事がまったく進まないのです。
テレビに出たのは、良かったのか、悪かったのか。その話を聞いて、私はこう提案しました。
「一度取材されたお店は、半年以内にまた取材される可能性が高いんです。次は、仕込んでおきましょう」と。
そこで、番組のスタッフさんと打ち合わせをして、準備をしておきました。次にテレビで紹介された日。放送が終わると同時に、ホームページに「テレビ出演キャンペーン」のページと商品を公開したのです。
今度は、電話はほとんど鳴りませんでした。その代わり、皆さんがホームページから、その商品を買ってくださった。数日の売上は、なんと150万円。
同じ「テレビに出る」でも、備えがあるかないかで、結果はこれだけ変わります。チャンスを活かせるかどうかは、社長次第なのだと、あらためて思った出来事でした。
──余談のなかの、さらに余談を。テレビの視聴率の話です。全国放送なら、視聴率1%でおよそ120万人。5%なら、600万人が見ている計算になるそうです。私は、これを聞くたびにドキドキしてしまいます。だって、その600万人が、商品を買うまでの階段の、一歩目に立っているのですから。
この記事のまとめ
- 見えた波は、経営に活かす。見て終わりではもったいない。
- 繰り返す波(曜日・季節)は読める。仕入れ・人員・情報の出しどきを先に仕込む。
- 突然の山(メディア・SNS)は読めない。いつ来てもいいよう備えておく。
- 山を「続く需要」と勘違いして大きく動くと危ない。あわてず見極める。
- どんな波も、受け皿が整っていなければ成果にならない。
- 波に振り回されず、波を使う。