A02-02:業種別・目的別、どの型が向いているか?

どの型が向いているかは、「目的」で決まります

前回、ホームページには5つの型があるとお伝えしました。では、自社にはどれが向いているのか。答えは業種ではなく、「何を達成したいか」の中にあります。

前回の記事で、ホームページには5つの型があるとお伝えしました。会社案内型、サービス受注型、ネット販売型、集客発信型、求人採用型。この5つです。

そうなると、次に気になるのはこれですよね。「で、うちの会社はどれを選べばいいの?」

その答えを、この記事で一緒に探していきます。先に結論をお伝えします。型は、業種で決めるものではありません。「このホームページで、何を達成したいか」という目的で決まります。

目次

型は「目的」から逆算する

ホームページの制作は、つくる順番が大切です。当社の場合は、こう考えています。

まず、目的を決める。次に、目的に合った型(土台)を選ぶ。それから、載せる中身(写真や文章)を用意する。そして、いちばん最後にデザインで装う。

この順番には、土台・中身・装飾という3つの層があります。土台が、システムです。会社案内なのか、通販のカートが必要なのか、ブログを更新し続けるのか。これが前回お話しした「型」にあたります。その上に乗るのが、写真や文章といった中身(コンテンツ)。いちばん表に見えるデザインは、いちばん最後の装飾です。

順番が逆になると、うまくいきません。「とにかくかっこいいホームページを」とデザインから入ると、肝心の目的が後回しになります。見た目は立派なのに、何の会社か伝わらない。そんなホームページができあがってしまいます。だから当社では、デザインの話より先に「何を達成したいですか」をお聞きします。目的さえ決まれば、型は自然と決まってくるからです。

目的から、型を引く

では、目的ごとにどの型が向いているのか。早見表にまとめました。

達成したいこと向いている型業種の例
会社を信頼してもらいたい①会社案内型取引先や銀行を意識するBtoB全般
知ってもらって相談されたい②サービス受注型製造業・士業・オーダーメイドの仕事
その場で売りたい・予約を取りたい③ネット販売型物販・飲食・サロン
多くの人に見てもらいたい④集客発信型教室・イベント・情報発信が中心の仕事
人を採用したい⑤求人採用型採用に苦労している中小企業全般

たとえば、ある製造業の会社のお話です。「こういう加工ができます」と自社の技術を丁寧に紹介し、問い合わせフォームを置きました。達成したいことは、知ってもらって、相談されること。選んだのはサービス受注型です。そこから、新しい取引先が少しずつ見つかるようになりました。

達成したいことが先にあって、それに型を合わせる。この順番です。

業種より「何を達成したいか」

早見表を見て、こう思った方がいるかもしれません。「うちは飲食業だけど、ネット販売型でいいのか?」

ここが大切なところです。同じ業種でも、達成したいことが違えば、選ぶ型は変わります。

たとえば同じ飲食店でも、お弁当の宅配で売上を伸ばしたいなら、その場で注文を受けるネット販売型が向いています。けれど、お店のファンを増やして常連になってもらいたいなら、日々の様子を発信する集客発信型のほうが合うかもしれません。業種は同じでも、目的が違えば答えが変わるのです。

だから、早見表は業種ではなく、左の「達成したいこと」から引いてください。業種で引くと迷いますが、目的で引けば、自然と1つに決まります。

それと、もう1つ。中小企業のホームページは、あれもこれもと欲張らないほうがうまくいきます。「総合商社より専門店」と私はよくお伝えします。何でも揃うお店より、1つのことに詳しい専門店のほうが、お客様の記憶に残るし、信頼されます。

では、専門店になるとは、具体的にどういうことか。私はセミナーで、こうお伝えしています。「20文字以内で、あなたの会社が何の専門店か言えるようにしてください」。

理由は2つあります。1つは、検索結果に出るホームページのタイトルが、だいたい20文字だから。もう1つは、人が誰かに口コミするときも、20文字くらいで伝えるからです。「葛飾の、〇〇が得意な会社」。これくらい短く言い切れたら、お客様の記憶にも、検索エンジンにも、しっかり残ります。長く説明しないと伝わらない会社は、覚えてもらえません。短く言い切れる強みを、1つ持つこと。それが専門店になる、ということです。

型は欲張らない

「集客もしたいし、通販もしたいし、ついでに採用も」。お気持ちはわかります。けれど、1つのホームページにいくつもの目的を詰め込むと、どれも中途半端になりがちです。

訪問者は、迷います。何の会社で、自分は何をすればいいのか。それがひと目で伝わらないホームページは、結局、何も伝わりません。

まずは、いちばん達成したいこと1つに絞る。その型でしっかり作り、育てる。そして、別の目的が出てきたら、そのときに足していく。前回お話ししたとおり、後から伸ばせる作りにしておけば、これは難しくありません。1つずつ、です。

事業が増えたら。サブドメインか、別ドメインか

事業が大きくなって、まったく性格の違う2つ目を始めるとき。同じホームページに足すか、分けるか、という話になります。

判断の軸は、シンプルです。訪問者が同じ人かどうか。

さきほどのある製造業の会社には、続きがあります。この会社は、受注加工の仕事をしているうちに、自社オリジナルの商品を作るようになりました。そして、その商品の1つが、だんだん売れ始めたのです。そこで、その商品だけを、別のホームページとして独立させました。

なぜ分けたのか。加工の仕事を頼む取引先と、商品を買ってくれる一般のお客様は、まったく別の人だからです。同じホームページに混ぜると、どちらにも中途半端に映ってしまう。だから、商品を売るほうは独立したショッピングサイトとして分けました。

分け方には、2つのやり方があります。1つは「サブドメイン」。今のホームページの住所の頭に、別の名前を足すやり方です。たとえば会社のホームページが「example.com」なら、商品サイトを「shop.example.com」にする。同じ住所の中に、部屋を1つ増やすイメージです。

もう1つは「別ドメイン」。まったく別の住所を、新しく借りるやり方です。会社のホームページとは無関係の、ゼロからの住所になります。

今までと同じお客様向けで、会社との関わりを見せたいなら、サブドメインで足す。まったく別のお客様向けで、独立した別の顔として見せたいなら、別ドメインで分ける。判断の軸は、技術ではなく「誰に向けた事業か」です。それさえはっきりすれば、どちらにすべきかは、おのずと見えてきます。迷ったら、相談してください。

筆者の余談

「かっこよく作ってほしい」から始まった仕事で、失敗しました

昔、デザインに強いこだわりをお持ちの社長から、ホームページの依頼をいただいたことがあります。「とにかくかっこよく」というご要望で、私もそれにお応えしようと、見た目を整えることに力を注ぎました。

社長は、その出来栄えに満足してくださいました。しかし、オープンしてみると、お問い合わせがまったく来ません。。誰に何を伝えて、何につなげるのか。肝心のビジネスの目的を見失っていました。

それ以来、私は、ホームページの相談をいただいたら、デザインの話より先に「このホームページの訪問者に、どのようなリアクションを取ってもらいたいですか?」と、必ずお聞きするようになりました。

目的が決まれば、型が決まる。型が決まれば、載せる中身が決まる。デザインは、そのいちばん最後です。目的を達成するための装飾だと、私は考えています。

今の私なら、同じ社長にこうお伝えします。

「多少見栄えは悪くても、素材集のかっこいい写真ではなく、社長や社員さんの本物の現場の写真を使いましょう。」

そのほうが信頼が伝わって、お問い合わせが増える可能性が高いからです。立派な見た目より、本物の中身。何よりも、一番はじめにビジネスの目的。あのとき気づけなかったことを、今は最初にお伝えしています。

この記事のまとめ

コレだけ!1分で復習
  • 型は業種ではなく「何を達成したいか」で決まる
  • 早見表は左の「達成したいこと」から引く。業種で引くと迷う
  • 「20文字以内で何の専門店か」言い切れる強みを1つ持つ
  • 型は欲張らない。1つに絞って育て、必要になったら足す
  • 事業を分けるかは「訪問者が同じ人か」で考える
小田朋和
(有)イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・中立・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、「難しいと思っていたITが、楽しく理解できた」という声をいただいています。「社長」よりも、「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
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