A01-04:制作でいちばん大変なのは「原稿集め」

制作でいちばん大変なのは、原稿集めです

ホームページ作りでつまずくのは、デザインではありません。写真も、文章も、実績も、会社の中にしかない。だからこそ、いちばん時間がかかります。

ホームページを作ろうと思ったとき、多くの方がまず気にするのは見た目です。きれいな写真、おしゃれな配色、今風のレイアウト。「どんなデザインにしようか」と考えるのは、自然なことです。決して間違いではありません。

ただ、実際に制作を進めてみると、つまずくのはたいてい別のところなんです。

目次

ホームページは、2つの部分でできています

少し整理させてください。ホームページは、大きく分けて2つの部分でできています。

1つは「器(システム)」。デザインや、ページを表示する仕組みのことです。もう1つは「中身(コンテンツ)」。器に載せる、写真や文章や情報のことです。

このうち器のほうは、制作会社が用意できます。デザインを整えるのも、表示の仕組みを作るのも、私たちの仕事です。問題は、中身のほうなんです。

本当に大変なのは、「中身を集めること」です

デザインは、決まってしまえば進みます。けれど中身、つまり何を載せるかが決まっていないと、どんなにきれいな器を用意しても、中は空っぽのままです。

実際、制作が途中で止まってしまう原因のほとんどは、デザインで悩むからではありません。載せる中身が、なかなか集まらないからです。

そして、中身が集まらないまま無理に形にしようとすると、もっと困ったことが起きます。手元に素材がないので、どこかで借りてきた写真と、どの会社のサイトにも書いてあるような当たり障りのない文章で、ページを埋めることになる。見た目はそれらしく仕上がります。でも、訪問した人の心には何も残りません。せっかく作っても、問い合わせにはつながらないのです。

中身とは、写真・文章・実績のことです

「中身」と言われても、少しぼんやりするかもしれません。具体的には、こういうものです。

商品やサービスの写真。会社の考えや、他社にはない強み、サービスの中身を伝える文章。これまでにどんな仕事をしてきたかという実績や、お客様からいただいた声。

並べてみると気づくことがあります。これらはどれも、会社の外からは持ってこられないものばかりです。

これらは、会社の中にしか存在しません

ここがいちばん大事なところです。

制作会社が用意できるのは、器の部分まで。写真に写すべき商品も、文章のもとになる会社の考えも、実績という事実そのものも、社長や社員の頭の中と、日々の現場の中にしかありません。

だから、「全部おまかせします」が成り立たないのです。よく「丸投げしたら中身の薄いホームページができてしまった」という話を聞きますが、これは制作会社が手を抜いたからとはかぎりません。そもそも中身を持っているのは、会社の側だからです。中身がない器を渡されれば、作る側も借り物で埋めるしかなくなる。先ほどの空っぽのホームページは、こうして生まれます。

やっかいなのは、当たり前すぎて自分では見えないことです

中身が会社の中にあるのなら、出せばいいだけのはず。それなのに、なぜそんなに大変なのでしょうか。

理由は、社長ご自身にとって、それが当たり前になりすぎているからです。

毎日続けてきたことは、本人には特別に見えません。「こんなのは普通のことだ」「わざわざ書くほどのものじゃない」。そう思っていることの中に、実はお客様が知りたいこと、他社にはない強みが眠っている。長くやってこられた方ほど、この傾向があります。

自分の強みは、自分では見えにくい。だからこそ、外からの目が必要になります。

だから、原稿を「待つだけ」の相手かどうかが分かれ目になります

制作会社には、いろいろなやり方があります。「原稿をください」「写真を送ってください」とお願いして、それが届くのを待つところもあれば、一緒に中身を掘り起こすところから手伝うところもあります。

どちらがいいか。これは、ここまでお話ししてきたことから自然に決まります。中身が会社の中にしかなく、しかも当たり前すぎて社長ご自身にも見えにくいのなら、ただ「出してください」と待つ相手では、なかなか前に進みません。質問をしながら一緒に言葉にしてくれる相手のほうが、形になりやすいのです。

ですから、制作会社を選ぶときは、デザインの上手さだけでなく、「この人たちは、うちの中身を一緒に引き出してくれるだろうか」という目で見てみてください。そこが、完成までたどり着けるかどうかの分かれ目になります。

当社の場合、この「一緒に引き出す」やり方を大切にしています。お客様のところへ足を運び、話を聞きながら、当たり前の中に埋もれた強みを一緒に言葉にしていく。そういう作り方をしています。

中身が決まれば、そのあとはうまく回り始めます

中身さえそろえば、デザインはその中身を引き立てる仕事に集中できます。公開したあとの改善も、何を直せばいいか判断しやすくなります。

逆に、中身が決まらないまま見た目だけ先に作ってしまうと、あとからほとんど作り直しになります。だから順番が大事なんです。中身が先、形は後。これだけは、覚えておいていただければと思います。

何をどう集めればいいのか、その具体的な中身については、第3章であらためてくわしくお話しします。

筆者の余談

原稿が出てこなくて、完成しなかったホームページがあります

恥ずかしい話を1つ。ずっと昔のことですが、原稿がそろわず、最後まで形にできなかったホームページがありました。

当時の私は、お待ちするばかりで、お客様の中にある言葉を引き出す技術を持っていませんでした。「原稿をお願いします」と頼んで、届くのを待つ。けれど本業でお忙しい社長が、慣れない原稿書きに手をつけられないまま、時間だけが過ぎていく。今思えば、難しいのは当たり前でした。

それからです。取材の仕方と、文章の書き方を、一から学び直しました。お客様に質問しながら、頭の中にあるものを言葉にしていく。そうやって一緒に作るようになってから、完成まで届かなかったホームページは、ほとんどありません。

足を運ぶのは、きれいごとで言っているのではないんです。待っているだけでは完成しないと、身をもって知ったからです。

この記事のまとめ

コレだけ!1分で復習
  • ホームページは「器(システム)」と「中身(コンテンツ)」でできている
  • 器は制作会社が用意できる。大変なのは、中身を集めること
  • 写真・文章・実績は、会社の中にしかない。だから丸投げはできない
  • 強みは当たり前すぎて自分では見えない。外からの目で引き出す
  • 制作会社は「中身を一緒に引き出してくれるか」で選ぶ。中身が先、形は後
小田朋和
(有)イオアート 代表取締役・IT経営コンサルタント
人情の街として知られる東京都葛飾区を拠点に創業25年以上。中小企業経営者のIT経営をサポート。「売り込まない・中立・わかりやすく」をモットーに、経営者の隣でITを経営の力に変えるお手伝いをしています。行政機関・経営者団体・大学・高校からの講師依頼も多く、「難しいと思っていたITが、楽しく理解できた」という声をいただいています。「社長」よりも、「先生」と呼ばれることの多い25年でした。
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